2025.9.22TRILL ニュース
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「30年前、どんなテレビのCMが記憶に残ってる?」
1995年の新年。街はまだ冬の冷たさに包まれながらも、どこか新しい一年への期待でざわめいていた。ショーウィンドーには福袋が並び、商店街には景気のよい音楽や掛け声が響き、街ゆく人々の表情にも自然と笑顔が浮かんでいた。
雑誌やテレビは華やかな特集を組み、ラジオからは次々と新しいヒット候補が流れてきた。そんな中で、まさかの“車のCMソング”が、誰もが口ずさむ大ヒットとなってしまったのである。
小沢健二『カローラIIにのって』(作詞:佐藤雅彦・内野真澄・松平敦子 作曲:内野真澄)──1995年1月1日発売
■小さな販促から生まれた奇跡
この曲は、もともとトヨタ「カローラII」のCMソングとして放送されていた。小沢健二自身が作詞・作曲に関与しているわけではなく、広告プランナーの佐藤雅彦とクリエイターの内野真澄らが手掛けた作品で、小沢は“歌い手”として参加していただけだった。
当初は販促用にプレスされたわずか数千枚程度のCDが販売店向けに配られただけで、市販の予定すらなかったそう。だが、テレビから流れるフレーズに反応した人々が次第に増え、問い合わせが殺到。予定外の人気が膨れ上がり、結果的に正式リリースが決定する。
気づけば、最終的に80万枚を超える大ヒットへと成長していた。小さな販促企画から、誰も予想しなかった社会的な現象が生まれた瞬間だった。
■誰もが口ずさめる幸福なリズム
この楽曲の最大の魅力は、その親しみやすさにある。歌詞は難解さとは無縁で、聞けばすぐに覚えられる言葉が並び、軽やかなメロディに乗せられていた。耳にした誰もが自然と口ずさんでしまう――そんな普遍的な強さを持っていたのだ。
さらに、小沢健二の柔らかく洒脱な声が、商品のイメージである「身近で気軽なクルマ」と絶妙に重なり、聴く人の記憶に鮮やかに刻まれていった。日常に溶け込むフレーズが“幸せの合図”として響いたことこそが、この曲を国民的ヒットに押し上げた理由といえる。
■広告から生まれた未来のメロディ
作詞を手掛けた佐藤雅彦は、広告界で数々の名作を生み出してきた存在だ。湖池屋『ポリンキー』や、NECの『バザールでござーる』といった、記憶に残るCMで知られる人物である。内野真澄とのコンビは、その後もユーモアとキャッチーさを武器に『だんご3兄弟』を生み出し大ヒットさせ、NHK教育番組『ピタゴラスイッチ』でも監修をつとめるなど、多彩な活動を展開していった。
つまり『カローラIIにのって』は、国民的現象を次々と生み出していく彼らの活動の中で、広告と音楽の境界を軽やかに越えた代表的な仕事のひとつであり、CMソングという枠を飛び出して広がった“先駆的な成功例”でもあった。
(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)
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Source: 芸能野次馬ヤロウ