【芸能】あったはずない「昭和」にハマる人続出!呂布カルマ、宇多丸も絶賛「架空昭和史」ってなんだ

この「架空昭和史」、とてもユニークで面白そうですね!

 そんな“あの頃”あったはずもないのに、なぜか不思議と懐かしさを覚える……。

 実はこのレトロな画像はAIによって生成されたもの。そこに、さもそんな時代があったかのような、まことしやかなストーリーを添え、架空の〝昭和〟を表現するムーブメント「架空昭和史」をご存じだろうか?

 今年4月ごろからTwitter(現X)で徐々に話題になり始め、いち早くチェックした呂布カルマが『ワイドナショー』(フジテレビ)で取り上げたほか、ライムスター宇多丸の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)でも紹介された。謎のムーブメントを生み出した張本人のプロハンバーガー@mandokoro)に話を聞いた。

リアルな日常風景に異物が混ざるおもしろさ

――「架空昭和史」とは、どういうものなんでしょうか?

プロハンバーガー(プロハン):基本的には、画像生成AIを使った「絵物語」みたいなものですね。僕は、ミッドジャーニー(Midjourney)というサービスを使っています。簡単にいうと、文字を入力するだけで勝手に絵にしてくれるツール。まず自分の頭の中で妄想したストーリーを元にプロンプト(AIに対する指示のこと)にして、画像を生成させます。すぐにイメージ通りの絵が出てくることはむしろ少なく、予想もしなかった変な絵が出てくることもあります。その変な絵のほうがおもしろけば、逆にそこからストーリーを考えたりと、こんな感じで作っています。

 最初は僕が一人でTwitterに投稿していたんですが、おもしろがる人が増えて、「#架空昭和史」のハッシュタグで他の人も続々と作品を投稿するようになってきたんですね。

――なぜ、こういうことを始めたんですか?

プロハン子どもの頃は絵を描くのが好きで、クラスの中でも上手いほうでしたが、中学生くらいになると、ガチで描いてる、明らかに上手いやつが出てくるじゃないですか。それで埋もれて、いつしか絵を描くのはやめちゃった。でも、新しいもの好きなので、軽い気持ちでMidjourneyを使い始めたら、めちゃくちゃハマったんですよ。自分の考えていることを勝手に絵にしてくれる。しかも、ものすごく上手くて、文句ひとつ言わずに何枚でも描いてくれる。まるで〝自分専用の挿絵画家〟みたいな存在じゃないかって。

◆「ワニの口を持つ女」が口裂け女に!

プロハンいろいろ画像を生成させて遊んでるうちに、友人から「AI画像のグループ展企画に出さない?」と言われて。その企画は「都市伝説」というテーマがあって、「口裂け女」と「人面犬」という課題を与えられたんですよ。それが、最初はぜんぜんイメージしたものにならなくて。口裂け女ってよく「口が耳まで裂けている」と表現されますよね。それをプロンプトに入れても、顔面にヒビが入って崩壊しているような、全く別の怖い女の絵になっちゃう。何か方法がないかと、ふと「ワニの口を持つ女」と入れたら、ようやくイメージに近い絵が出た。「やっと出た!」と感動しましたね。

プロハンこのときに、口裂け女1970年代末、昭和の都市伝説だから、その時代の雰囲気にしようとプロンプトを試していたら、偶然、「柱の陰からワニの顔が飛び出してきて、驚いている昭和の主婦」みたいな謎の絵が出て。実際にありそうな日常風景の中に、何か異物が含まれていると、めちゃくちゃおもしろい!と気づいたんです。これが架空昭和史のきっかけですね。

◆バズってからのスピード感が異常に早かった

――発表し始めてからの反響は?

プロハンとにかく反応が早かったですね。僕はずっと音楽制作やDJをやってきて、インドネシア発祥のダンスミュージックファンコット」を日本に紹介したり、最近だと「レトロCM魔改造」っていう昔のCMを勝手にリミックスした動画シリーズを200本以上作ったりしていて。そうした活動を熱狂的におもしろがってくれる人はこれまでにもいましたが、こんなに始めてからすぐにバズって、あれよあれよという間に「個展やりましょう!」みたいに事が運んだのは初めてです。今までの創作活動と、形になるまでのスピード感がぜんぜん違うな、と。AIに対して皆が興味を持っている時流もあるのかもしれませんけれど。

◆プロの絵描きが「AIすげぇ」と感動

――個展やグループ展をすでに何度か開催されていますが、いかがでしたか?

プロハン自分の手で描いたわけでもないAI生成画像で人生初の個展が実現すること自体、不思議でしたね。会場側の告知文に冗談半分でしょうが、「プロハンバーガー画伯」と書かれていて、自分で「画伯って言えんのか?」と疑問に思いました。でも、ガチで絵を描いてる方が来てくれて、「AIすげえ。この絵が数分でできるの?」って感動してたんですよ。その人の描く絵も少し架空昭和史に通じるレトロ感があって、めちゃ写実的で上手なんですけど、1枚描くのに何日もかかるそうで。そうやって苦労して絵を描いてる人が怒るでもなく、できあがった作品をおもしろがってくれて、「自分もAI画像生成を学びたい」とまで言ってくれたのは、嬉しかったですね。

 考えてみたら、僕らのようにダンスミュージックを作るのでも、「キックの音からイチから作らないと気が済まない」って人もいれば、「サンプル素材やループ集を使い倒す」って人もいて。僕は後者なので、AIを使った作品づくりにも抵抗がなかったのかもしれません。手法は関係なく、できあがったものがおもしろければよし、みたいな。

――作品は販売もされてるんですよね?

プロハンMidjourneyは有料プランに加入していれば、商用利用OKになってるんですけど、はたして「AIアートをプリンアウトして額装したもの」にちゃんと価値を見出してくれる人がいるのか?という点では、大いに不安でした。でも、結果的にかなりの数の作品をご購入いただきまして、「こいつは時代がヤバいことになってるぜ!」と実感しました。おかげで、ずっと欲しかった電動アシスト自転車を購入できました(笑)

テクノロジーで現実と妄想の境界が曖昧に

――おもしろい画像を生成させるための工夫はありますか?

プロハンまず「妄想力」ですよね。僕は昔、手相占いで「妄想と現実のはざまに生きてる」と言われたことがあって。たしかに妄想するのが好きで、街中でボーッとしてると「ここに今いきなりヤバいモンスター現れたら、どうなる?」みたいなことを考えてたりとか、脳みそが小学生のままなんですよ。

 妄想や想像したものを言葉で表現する「言語力」も大事。あまり複雑な注文はAIも答えられないので、簡潔に表現しなきゃいけない。テクニック的には“雰囲気”や“味”に関わるワードが重要で。昭和っぽさを表現するための年代や場所の指定とか、あとは例えば、カメラの種類を昔の「ニコン○○○」のように指定することで、古い感じの質感になったりとか。Midjourneyは日本語対応してないので、思いついた文や言葉を英語翻訳にかけて入力するんですけど、翻訳で本来の意図とズレたのが結果的におもしろくなったりもしますね。

 とはいえ、一方的にAIに命令してイメージ通りのものを出させるというよりも、やっぱり、思いもつかなったものが偶然に出力されるのがおもしろい。その“ガチャ要素”がヤバくて、めちゃくちゃ中毒性があります。僕、これをやり始めてから、毎日ずっとやってて、他のエンターテインメントをほとんど見なくなっちゃいましたもん。

水木しげる『妖怪図鑑』からの影響も

――架空昭和史は、画像と組み合わせる文章のおもしろさもありますよね。

プロハン子どもの頃に水木しげるの『妖怪図鑑』が大好きで。文章がまた良いんですよ。「この妖怪はこういう場所に現れ、このように人を脅かす」みたいに、まことしやかに言い切るノリ。子どもは信じちゃうじゃないですか。たぶん、それにすごく影響を受けてます。あまりにも好きすぎて、自分も『妖怪図鑑』を描く人になりたかった。そんな子どもの頃の夢がAIで叶ったって感じです。

――今後、AIを使った創作や世の中の受け止め方はどうなっていくんでしょうか?

プロハン何か作りたい、表現したい人にとって、ものすごい良い時代になってきたんじゃないでしょうか。アイディアの源泉さえあれば、AIツールを活用して、すごい早さでモノにしてくれる。自分の畑違いの分野にもチャレンジできるチャンスですよね。僕にしても、絵をちゃんとやってなかった人間なのに、個展までやらせてもらって。また、この経験を音楽制作にもフィードバックしたいと思ってます。

 一方、注意すべきだなと思ったこともありまして。以前、電車に乗ったら、隣に座ってた女の人が突然、納豆を食い始めたんですよ。「ヤバい!」と思って、いちおうプライバシーに配慮しつつ隠し撮りして、「電車の中で納豆食べてる人いる!」とツイートしたらバズったんですけど、「これもAI画像だろ?」と、現実なのに創作だと疑われました。さすがに隠し撮りは良くなかったと反省して、そのツイートはすぐ消しましたが、新しい経験でした。たしかにAIで現実と見間違うリアルな画像をいくらでも作れますからね。こんなふうに、現実と妄想の境界が曖昧になる事態がどんどん加速しそうです。その反省も踏まえて、架空昭和史ではおもしろいものを作り出すことを目指しつつ、「誰も傷つかないように」と意識するようになりましたね。

◆架空昭和史版『週刊SPA!』を作ってみた

――最後に今後のご予定などは?

プロハン今、架空昭和史・写真集の出版企画が進んでいます。刊行はまだ少し先になりますが、ぜひ手にとっていただければ幸いです。あと今回、せっかくインタビューしていただいたので、架空昭和史版『週刊SPA!』を作ってみました。お楽しみください!

 昭和末期に創刊され、現在も多くの読者から支持される情報雑誌『週刊SPA!』。意外と知られていないが、その創刊号は「スパっとした斬れ味の日本刀」、サラリーマンエネルギー源としての「スパゲティ」、および体力回復のための「スパ(温泉施設)」の「3大スパ情報」に特化した週刊誌であったという。

<取材・文・撮影/山本太郎

プロハンバーガー(ex. 高野政所)】
1990年代テクノハウスなどをバックボーンに日本独自のサンプリングを主体とした「ナードコアテクノ」を主軸としたユニットレオパルドン」として活動。2005年2015年には、東京にあった伝説の小箱「ACID PANDA CAFE」店長を務めながら、DJ、トラックメイキングなどの音楽活動を続ける。2010年インドネシアローカルダンスミュージックFUNKOT」を発見、自らインドネシアに出向いて体験・研究をし、日本にFUNKOTを紹介、伝道師と呼ばれる。2021年に7月に突如「プロハンバーガー」に転生。人間であることを辞め、ネット上の妖怪のような存在になる。それでもごく一部から熱狂的な支持を得て、一切足を止めることなく、アンダーグラウンドな表現活動を続けている。2022年よりAI画像生成にハマり、今に至る

山本太郎
長年、医療や健康などのまじめな記事を書いていましたが、最近は「おじさん」や「おじさん予備軍」の男性がハッピーおじさんライフを送るための情報をお伝えしたいと思っております。「DUB SQUAD」というテクノバンド、「TARO ACIDA」「DJチャラい先輩」などの名義でDJ活動もする浮ついたおじさんです

あの頃はこういうロボットが各家庭に一体は必ずいてね… うちの娘なんて職場の友達の家のロボットに惚れちゃってね、「結婚する」なんて言ってお見合いまでしたんだから、笑っちゃうでしょ?

(出典 news.nicovideo.jp)

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Source: 芸能野次馬ヤロウ

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