【芸能】「ポケモンカード」はなぜ高騰する? “ポケカプレイヤー弁護士”が解説 フリマアプリに潜むキケンとは

「ポケモンカード」の需要が高まっているからだと思います。最近のポケモンブームやeスポーツの人気により、ポケモンカードを収集したりプレイしたりする人が増えています。そのため、需要が増加し価格が高騰しているのではないでしょうか。

 2023年ポケモンカードゲームの人気が爆発した1年だった。新パックの発売日には行列ができ、発売形態はほぼ抽選予約で、現在まで入手困難な状態が続いている。また、カードショップで強盗事件が発生したという報道も相次いでいる。

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 日本玩具協会の玩具市場規模データによると、カードゲームトレーディングカードの市場は2020年度に1224億5200万円だったのに対し、21年度1776億4600万円、22年度2348億9100万円と2年で約2倍に迫る勢いで成長している。その中心にいるのがポケモンカードというわけだ。

 この数字を支えているのはカードショップだけではない。フリマアプリを利用する個人の間でもポケモンカードは人気を博している。しかし「フリマアプリでのパックの購入を勧められない」とシティライツ法律事務所東京都渋谷区)の前野孝太朗弁護士は話す。今回は自身も“ポケカプレイヤー”である前野弁護士にその人気の理由や、そこで発生している問題について法的見解を解説してもらう。以降の段落から前野弁護士の文章。

ポケモンカードゲームの現状

 この週末にいよいよ新パック・新カード・レギュレーション改定の情報が発表されたポケモンカードゲームACE SPECカード(強力な効果を持つ特別なカード)が再登場することになり、個人的には使ったことがなかったので大変楽しみです。

 今回は、弁護士ポケカプレイヤーという立場で、最近のポケモンカードゲームに関する状況や問題の紹介、法的な整理をお伝えできればと思います。なお私は、基本友人とプレイしており、たまにジムバトルショップ大会)に出る程度のカジュアルプレイヤーですので、大型公式大会に出られるようなプレイヤーとは少し認識が異なるかもしれません。ご了承ください。

 まずは、ポケモンカードゲームの現状を整理しましょう。昨今のポケモンカードゲームの人気はすさまじく、4月に発売したカードパック「スノーハザード」「クレイバースト」の発売日前日深夜から一部の家電量販店に大行列ができ、警察が出動するなどしてニュースにもなりました。

 ポケモンカードゲームのパックも昔は、コンビニおもちゃ屋で気軽に購入できましたが、現在では、ほぼ抽選予約方式で販売されており、入手が困難になっています。発売日後に入荷しても、SNSで宣伝すると数時間で売り切れるような状況です。

 また、1枚のカードが非常に高額で取引されていることも話題になり、1枚100万円以上のカードや1億円のカードもあるなどと報道され注目を集めました。

カードの値段は誰が決めるのか?

 このような報道を見た、ポケモンカードゲームプレイしていない方から「カードの値段は誰が決めているのか?」と質問されることがあります。まず、この点を少し説明いたします。トレーディングカードゲームでは、一般的に、カードショップなどがプレイヤーからカードを買い取り、1枚ずつ値段を付けて販売しています。

 プレイヤーはパックを買って当たったカードのうち不要なものは、カードショップなどに買い取ってもらえます。逆に足りないカードカードショップなどで購入しています。また、最近ではフリマアプリなどで、プレイヤー間の直接売買も盛んに行われています。

 その意味で、カードの値段を決めているのは一次的にはカードショップなどの運営者とフリマアプリなどで販売するプレイヤーです。ただ、カードショップの相場とフリマアプリなどの相場は、おおむね一致していきます。なので、大きな意味ではカードの値段は「株式のように需要と供給によって決まっている」というのが正確でしょうか。

●3年で使えなくなるカードコレクション需要

 カードの値段は需要と供給によって決まりますが、この「需要」には大きく分けてコレクター需要とプレイヤー需要があります。

 ポケモンカードゲームでは、約1年周期でスタンダードレギュレーション(多くの公式大会で採用しているルール)が変更され、約3年前に発売されたカードを使用できなくなります(いわゆる「スタン落ち」)。直近でも2024年1月26日から、21年ごろ発売のカードが使用できなくなることが発表されました(一部のルールを除きます)。

 ちなみに「スタン落ち」の有無はゲームによって異なります。例えば「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ」(遊戯王カード)では「スタン落ち」はありません。

 このような背景から、スタンダードレギュレーションで使用できないカードプレイヤー需要が大きく落ち、基本的には価格が下がります。他方で、もともとプレイヤー需要の高くない(効果が強いわけではない)カードで、イラストに人気のあるコレクター需要の高いカードは、価格が下がりにくい傾向にあります。むしろ希少性によって値段が緩やかに上がることもあります。

 ポケモンカードゲームで1枚100万円を超えるようなカードは、スタンダードレギュレーションでは使用できないカードです。つまりコレクター需要が高く、かつ、供給が少ないカードが多いです。

 例えば、4月に大行列でニュースになったパック「クレイバースト」の最も高額なカードは「ナンジャモ」のレアリティスペシャルアートレア(SAR)」(クレイバースト版)です。このカードプレイヤー需要・コレクター需要こそ高いものの、いまだ供給があるので、フリマアプリなどでは約10万円前後で取引されているにとどまります(それでも十分に高額ですが)。

 またスタン落ちにより価格が下がる例として、「バトルVIPパス」というカードがあります。こちらは、大会で使用されるほぼすべてのデッキに入っているカードで、プレイヤー需要が非常に高いカードでした。キャラクターカードではなく、コレクター需要はほぼありませんが、再録がなく供給が少なかったため、低いレアリティでありながら一時期1枚2000円近い金額で取引されていました。

 ただ、1月からはスタン落ちによって使用できなくなることと、直近に再録されたことも重なって、現在では1枚300円未満でも取引されています。

●「カードが高額でプレイできない」は間違い?

 「カードがそんなに高くなったら子供が遊べないのでは?」という質問を受けることもありますが、そのようなことはありません。ポケモンカードは、同じカードに、高レアリティと低レアリティを設ける仕組みで販売されているためです。

 上記のナンジャモにも、スーパーレア(SR)、アンコモン(U)のレアリティ版があり、全て同じ効果ですので、低レアリティ版を入手すれば問題なくプレイ可能です。ナンジャモは効果が強力で、デッキ構築に必須級のプレイヤー需要の高いカードですが、Uのレアリティ版は、再録も多く、100円前後で購入可能です。

 ちなみに、Uは1パック(基本は5枚入り)に1~2枚程度、SRは1BOX(基本は30パック)に1枚程度、スペシャルアートレア(SAR)は、数BOXに1枚程度の封入率といわれています。

 上記のナンジャモにも、SR、Uのレアリティ版があり、全て同じ効果ですので、低レアリティ版を入手すれば問題なくプレイ可能です。ナンジャモは効果が強力で、デッキ構築に必須級のプレイヤー需要の高いカードですが、Uのレアリティ版は、再録も多く、100円前後で購入可能です。

 その意味で「高額で子供が遊べない」という報道は、やや実態には沿わないように思います。むしろ他のトレーディングカードに比べて流通量が多い為、ポケモンカードゲームは、シングル価格は低く遊びやすい印象です。

 どちらかといいますと、プレイヤーとしては、トレーディングカードゲームの醍醐味(だいごみ)である「パックを購入して開封する楽しみ」を味わいづらい点が、少し寂しく感じるところです。受注販売や増産などの対策により、一時期より状況は改善してきていますので、今後、子供も含めた全プレイヤーがさらに気軽にパックを購入できるようになることを楽しみにしています。

ポケモンカードで起きている問題と法的な整理

 それでは、現在ポケモンカードにおいて発生している問題について紹介し、法的な観点から検討してみましょう。

 さまざまな問題がありますがここでは、9月19日付でポケモンカードゲームトレーナーWebサイトで公開された「強化拡張パック『レイジングサーフ』発売にあたっての取り組みと注意事項について」(以下「注意事項」といいます)に基づいて一部の問題をご紹介いたします。

転売目的の購入

 ご紹介した通り、ポケモンカードゲームは人気が高く、パックを入手することが困難になっています。そのため、一部の方は、購入したパックをそのままフリマアプリなどやカードショップに転売する目的で、各ショップの抽選に応募するなどして購入することがあります。

 注意事項でも「弊社では、転売などの営利を目的とした商品購入を固くお断りしております」「ポケモンセンターオンラインで、利用規約違反や転売目的の購入と当社が判断した場合は、ご注文をキャンセル、今後の利用を制限いたします」との記載があります。

 利用規約については、ショップごとに内容が異なりますが、多くの場合、転売目的での購入を禁止しているため、その目的での購入は規約違反となるでしょう。ユーザーが利用規約に違反した場合、ショップの運営者は、注文のキャンセル(売買契約の解除)、利用制限などの利用規約に即した措置を採ることが可能です。

 また、転売を禁止しているショップで転売目的を隠して購入した場合、ショップに対する民法上・刑法上の詐欺にあたる可能性もあるでしょう。購入態様によっては、刑法上の偽計業務妨害、古物営業法違反などにあたる可能性もあります。

偽造品・模倣品の出品

 こちらは、ポケモンカードコピーした商品などを「レプリカ」「メタルカード」などの呼び名で販売する行為です。主にフリマサイトなどで見られます。9月に公式から注意喚起があり、数は減っている印象ですが、たまに販売されていることもあり、注意が必要です。ポケモンカードコピーして販売した場合、イラスト著作権(複製権など)の侵害になります。

 また「ポケモンカード」「ポケカ」や、「ワイルドフォース」「サイバージャッジ」などのパック名、「ダメカン」(ゲーム中に使用する道具)や各タイプマークは商標登録されています。コピー商品はこれらの商標を使用することになるため、商標法違反にもなります。なお、ポケモンカードの偽物の販売については、10月に商標法違反での逮捕者もでています。

 フリマアプリなどの出品者が、コピーであることを秘して販売した場合、購入者に対する民法上・刑法上の詐欺にあたる可能性もありますし、フリマアプリなどの利用規約違反になる可能性もあります。

フリマアプリなどの「オリパ」の販売

 「オリパ」とは、オリジナルパックの略称です。トレーディングカードゲームでは、カードショップが、独自にカードを組合せて、中身が分からないパックを作って販売する売り方が一般的に行われており、このパックをオリパと呼びます。

 昨今では、フリマアプリなどの登場で、個人でもオリパを販売することが多くなっています。注意喚起では、「『SR高確率封入』などの表現で出品者が独自にカードランダム封入し販売する『オリパオリジナルパック)』は、該当のカードが実際には低確率で封入されている、もしくは封入されていない可能性がございます」との記載があります。

 つまり、出品者が「高レアリティが高い確率で入っている」としてオリパを販売しつつ、実際には高レアリティカードが封入されていなかったり、確率が低かったりするわけです。

 こちらは出品者から購入者に対する詐欺にあたる可能性がありますし、出品者が事業者である場合、景品表示法違反の可能性もあるでしょう。なお、オリパについては、刑法上の賭博との関係も検討が必要ですが、今回は措くことといたします。

サーチ済みパックの販売

 パックをフリマアプリなどで販売する際、レアリティの高いカードが入ったパックを抜き取って販売する手法です。

 注意喚起には「いわゆるサーチなどの行為によりSR、SARなどのキラカードが封入された拡張パックのみを抜き取って、残りのパックを販売する『サーチ済みパック・ボックス』の出品が確認されています」との記載があります。

 そんなに簡単にレアリティの高いカードだけ抜くことができるのか、と思われるかもしれませんが、特殊な器具などを使用する方法から簡易的な方法までさまざまな方法が存在します。フリマアプリなどでカードパックを購入する場合、サーチ済みである可能性は十分にあります。個人的にも、フリマアプリなどでのパック購入はお勧めできません。

 こちらは、「オリパ」と同様、出品者から購入者に対する詐欺にあたる可能性があります。また、出品者が事業者である場合、景品表示法違反の可能性もあると考えます。

 以上の通り、ポケモンカードに関する問題の一部を簡単に紹介・解説いたしました。24年は、大人も子供もパックが買いやすくなり、あまり抽選におびえずに、ACE SPEC環境を皆で楽しめることを願っております。

(出典 news.nicovideo.jp)

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Source: 芸能野次馬ヤロウ

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