●飯豊まりえ・溝端淳平の印象語る
ABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ『何曜日に生まれたの』(毎週日曜22:00~)が8日に最終回を迎える。今作は、日本を代表する名作を多数生み出してきた脚本家・野島伸司氏のオリジナル作品で、高校時代の“ある出来事”をきっかけに10年間ほぼ引きこもり生活を送っていた27歳の黒目すい(飯豊まりえ)が主人公の物語。女優の白石聖は、オレンジのウィッグをかぶったアガサ(三島蕾)役として終盤戦の第6話ラストに予告なしのサプライズで登場し、視聴者を驚かせた。
最終回では、単行本刊行記念のサイン会で、公文竜炎(溝端淳平)が熱狂的なファンに襲われ現場は大混乱。一方その頃、すいは公文の妹・蕾に会うため1人病院へ。おそろいのオレンジウィッグを被り、中庭から病室へメッセージを送り続ける――というストーリーが描かれる。
このたび最終回放送を前にインタビューに応じた白石が、「とても難しい役だと感じた」というアガサの役作りと共演者の印象を語り、2023年の出演作、2年前のインタビューを振り返った。
○■『何曜日に生まれたの』蕾役「とても難しい」
――まずは今作への出演が決まったときの心境を教えてください。
野島伸司さんの作品の世界に入れることがとても楽しみでした。台本をいただいて、登場人物それぞれの目線で進む物語がどう絡み合っていくのかが面白くて引き込まれ、いろいろな側面を持っていて、受け取り手によって印象の変わる今までにない作品だと感じました。
――蕾を演じることについては。
とても難しい役だと感じました。演じるのが大変だなと。蕾の過去ははっきりとは描かれていないんです。監督とは「こういうことが原因で心に傷を負ってしまったんじゃないか」とすり合わせをしたものの、細かいところは自分で想像を膨らませて考えていきました。蕾にはセリフがほとんどなく、表情も大きく変化しないので、抑えられた中での表現を大事にできたらなと思って演じました。言葉はなくても、きっとここでこういうことを考えているだろうな、そういった思いが目に現れるようにしよう、と役作りを進めていくのはとても楽しい作業でした。
――今作の主演・飯豊さんの印象を教えてください。
とても和気あいあいとした現場を、飯豊さんが座長として引っ張っていってくれているのを感じました。私は途中からの合流なので、出来上がっている空間の中に入るにあたって最初は様子をうかがいながら……と思っていたのですが、飯豊さんはこちらにそんな気遣いをさせない、お話ししやすい方で。明るくて素敵な女優さんです。実は、初めて映像作品に出演させていただいたときの主演が飯豊さんだったんです。まさかこうやってまたご一緒できると思っていなかったのでご縁を感じましたね。飯豊さんも「えー! あそこにいたのー!」と驚いてくれました。
――兄役の溝端さんはどんな印象でしたか。
“頼れる兄貴”です。台本に描かれていない部分までしっかりと考えていて、監督にも自ら提案しながら作品を引っ張ってくださる存在でした。キャラクター一人ひとりへの理解がとても深いのを感じました。溝端さんとは初めてお会いしたのですが、関西弁だったのも印象的で(笑)。こういう言い方をしていいのかわからないのですが、とても“面白いお兄さん”でもありました。
――続いて、白石さんの今年のお仕事についてお伺いしたいのですが、この9月時点に発表されている今年の出演ドラマが7本あって、今年も大活躍ですが、特にお忙しくされているのでしょうか。2023年はどんな年だったか教えてください。
個人的には今年が特に忙しいという感覚はないですね。プライベートでもリフレッシュする時間を持つことができて、お仕事をするにあたっても、オンオフの切り替えがしっかりできたと感じました。
――どんなリフレッシュをされましたか。
ピラティスを始めたのですが、運動ってとても楽しいんだと気づきました! 10月クールのドラマ『フェルマーの料理』(TBS系)では水泳に挑戦しているのですが、全く泳げず「水大嫌い」というレベルだった私が、始めてみると意外と楽しくて。ここまで泳げるようになったので、もう少し続けたいなと思っています。
――運動がリフレッシュになってるんですね。ほかにプライベートで印象に残っていることはありますか。
最近は全然行けていないのですが、陶芸はとても楽しかったです。マグカップや、サラダボール、壺みたいなものを作って……壺は今はペン立てになってしまっているのですが、本当はお花を活けたいと思っています。かわいい作品ができてます!
○■『大奥』『合理的にあり得ない』にも出演
――素敵な趣味ですね! お仕事としては、『だから私は推しました』に続く森下佳子さんの脚本作品『大奥「8代・徳川吉宗×水野祐之進 編」』(ともにNHK)にも出演されました。
『だから私は推しました』は完全に森下先生のオリジナル作品で、『大奥』は原作のある作品でしたが、自分の役だけではなく、作品全体にとても心を揺さぶられました。私が演じさせてもらったお信は第1話の登場でしたが、彼女が今まで祐之進に抱えていた気持ちがちゃんと描写されていたので、とても入り込みやすかったです。
――前クールには『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』(カンテレ・フジテレビ系)に出演されました。会見では主演の天海祐希さんが、白石さんが涙したお芝居を振り返って、「聖ちゃんいい! 感動した!」とお墨付きでしたね。
天海さんにそう言っていただけて、とてもありがたいなと思いました。天海さん、そしてずっと天海さんとご一緒されているスタッフの皆さんと、あのチームだからこそできる経験をたくさんさせてもらった現場でした。演じた久実は行動力があって、喜怒哀楽が激しくて、とても素直な人間だったので、私もそのとき感じたことを表現していけばいいのかなと思いながら役を作っていました。衣装がかわいかったことも、毎回現場に行く大きな楽しみの1つでした。
●“武器”と“挫折”、2年間での変化は
○■2年前のインタビュー回答クイズ
――久実の衣装は視聴者にとっても大きな楽しみでした。ここで突然ですが、マイナビニュースでは、2020年11月に白石さんを取材させていただいたことがありまして。その際の「2つの質問」について白石さんがどう答えていたか、クイズを出してもいいでしょうか。
外れたら恥ずかしいやつですね(笑)。
――そんなことないです!(笑)まずは「女優としての武器は何だと思いますか?」という質問を2年前にさせていただきました。
武器!?(笑)なんだろう。当時初の写真展(『-COLOR-(カラー)白石聖×関根一弘』)をしていて、「何色にも染まらない」というテーマが1つあったので、武器と繋がるかは分からないのですがそんな感じの……。
――かなり正解に近いです。当時の答えは「作品によって顔が違うと言ってもらえる」でした。
全然違う!
――いえ(笑)、顔が違う=色に染まらないということだと思います。「作品ごとに別の人間になれていると言っていただけることがあるので、武器と言っていいのかな」という回答でした。ちなみに今は女優としての武器をどう考えていますか。
でも確かに、今作のアガサのような、何か抱えている女の子を演じさせていただくこともあれば、とても活発な女の子を演じることもあるので、振り幅は結構広いのかなと思っています。
――ありがとうございます。もう1問、「今まで女優として壁にぶつかったことがありますか」という質問をさせていただいたのですが……。
「まだない」と言っていませんでした?
――正解です!
ですよね。「大きな挫折はまだない」と答えた気がします。
○■2年の間に“時の運”の存在を知る
――「大きな挫折が今までにないので、逆にこれからが怖い」とおっしゃっていたのですが、そう答えた2020年から今まで、壁にぶつかったことはありましたか。
うーん……ありましたね。挫折とは違うのですが、“時の運”って存在するんだなということがあったかもしれません。
――たとえば、自分の頑張りではどうしようもないことだったり。
そうですね、自分ではどうにもならないことってあるんだなと感じて、逆に今までのお仕事は“ご縁”があったんだなと思うこともできました。
――そんなときは、どう乗り越えたり切り替えたりされるんですか。
それこそ陶芸をしたり、無になれる時間を持つことでリセットしています。そのために、プライベートの時間を豊かにしたいなといろいろと模索した時期がありました。
○■25歳、女優としての展望は
――白石さんは8月10日に25歳の誕生日を迎えられましたが、20代後半に差し掛かったということで、これからの女優としての展望も教えていただけますでしょうか。
展望!(笑)。
今まで目標を掲げることが苦手だったのですが、24歳のときは、大人なのに大人になりきれないというか、どっちにいったらいいか分からずぐらぐらしていたので、誕生日を迎えて「やっと25歳になれた」とうれしかったんです。気持ちを新たに、誰かの心に残るような作品に出演して、もっともっとお芝居の質を上げて、もっともっと役の幅を広げて深めていきたいです。
――素敵な目標です! 最後に、『何曜日に生まれたの』最終回の見どころを教えてください。
見どころを挙げるのは本当に難しくて、全部なんです(笑)。見てくださる方によってミステリーにもなるし、ファミリードラマにもなるし、ラブストーリーにもなる、受け取り方が変わるという、今までにない不思議な魅力を持った作品だと思います。たくさん張り巡らされた伏線が回収されていくのも楽しい最終回になっていると思います。蕾が最後どうなるのかはネタバレになっちゃうので言えませんが、蕾なりの成長を、ぜひ見届けてほしいです。
■白石聖
1998年8月10日生まれ、神奈川県出身。2016年に女優デビュー。2019年に結婚情報誌「ゼクシィ」12代目CMガールに起用され、注目を集めた。2020年には、『恐怖新聞』にて連続ドラマ初主演を飾った。2023年は『何曜日に生まれたの』のほか、『大奥「8代・徳川吉宗×水野祐之進 編」』、『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』 、『フェルマーの料理』(10月20日スタート・TBS系)、『連続ドラマW OZU 〜小津安二郎が描いた物語〜 第1話「出来ごころ」』(11月放送予定・WOWOW)などに出演。
メイク:高橋里帆(HappyStar)、スタイリスト:高橋美咲(Sadalsuud ※高ははしごだか)
(八木ひろか)

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Source: 芸能野次馬ヤロウ